七面鳥の丸焼きを初めて買ったとき、正直「どう切ればいいのか全くわからない」状態だった。映画で見るように豪快にナイフを入れればいいと思っていたけれど、実際にテーブルの前に座り、丸々と焼き上がったターキーを前にすると手が止まった。鶏よりもはるかに大きく、脚も胸も分厚い。「どこから切れば正解なんだ?」。その疑問を解消するため、私はその日、しっかりと七面鳥の切り方を学んだ。
まず大切なのは、ナイフよりも「まな板の位置」と「固定」。大きい肉は動くと危険なので、フォークかトングでしっかり押さえ、包丁を大きく動かすのではなく、肉に沿って滑らせるように切ると良い。最初に外すのは足の付け根。関節に沿って刃を入れるとスッと切れる。思っていた以上に簡単で、小さな達成感があった。
次は胸肉。七面鳥は胸が特に大きい。皮の中央からナイフを入れ、左右に切り分けるイメージ。厚さがあるのでスライスして盛ると食べやすい。薄めに切ればパサつきにくく、ソースが絡みやすい。逆に厚切りは食べ応えがあるけれど喉に詰まりやすいので飲み物必須だ。私は途中でクランベリーソースをかけてみた。甘酸っぱさが淡白な肉に良く合う。まさに「肉が生き返る味」だった。
続いてモモ肉。ここは脂が多く旨味が強いので、切る瞬間から香りが立つ。ここを食べると「七面鳥は地味」という先入観が一気に覆る。ぷりっとした食感は鶏に似ているが、味わいはよりワイルド。かぶりつきたい人向けの部位だ。
そして意外な発見だったのは「残った骨のスープ化」。切り落とした後のガラを鍋に入れ、玉ねぎと塩だけで煮込むだけで深い味のスープになる。丸焼きは食べるだけでなく、最後まで楽しめる料理なのだと学んだ。次に作る時はラーメンやリゾットに応用したい。
七面鳥の丸焼きは、ただ豪快に食べる料理ではなく、「切り方」ひとつで美味しさが変わる。最初は難しそうに見えたけれど、部位ごとに順番を決めて切れば初心者でも十分楽しめる。料理の時間がイベントになり、達成感とワクワクが残る体験だった。
結論:七面鳥は切り方を知ればもっと美味しい。胸は薄く、モモは豪快に。残った骨も捨てずにスープへ。ひとり調理でも十二分に満足できた夜だった。


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