高校生の頃でも、大学生の頃でもない。
社会人になってからのある夜、急に「昔みたいにゲームをやり込みたい」という衝動が湧いた。
時計を見ると深夜0時過ぎ。
次の日も仕事なのに、なぜか胸の中にぽっかり空いた隙間を埋めたくて、
気づけば近所のコンビニでカップラーメンとゼロコーラを買って帰っていた。
「今日は、久しぶりにドラクエでもやるか。」
そうつぶやきながら部屋に戻り、机の上にカップラーメンを置く。
お湯を注いで待つ3分間さえ、なぜかワクワクする。
その間にTVモニターをつけ、スイッチを入れる。
タイトル画面の「ドラゴンクエスト」の文字が光った瞬間、
胸の奥に懐かしいものが一気によみがえった。
カップラーメンのフタをめくると、
湯気と一緒にしょうゆの香りがふわっと広がる。
深夜の静けさだからこそ、その匂いがやたらと強く感じられる。
ひと口すすり、コントローラーを握る。
スープの塩気と、ゲームの冒険感が同時に流れ込んでくるようだった。
ドラクエの世界に入ると、現実の悩みは全部背景に薄れていく。
仕事のこと、人間関係のこと、将来の不安、
そういうものが数十秒で遠ざかる。
かわりに目の前には
────見知らぬ街、勇者、仲間、モンスター、BGM。
深夜というだけで、冒険の没入感は100倍になる。
外は静かで、人の声もしない。
部屋の明かりも落としているから、
ゲームの画面がやたらと明るく感じる。
カップラーメンをすすりながら、
「あー、これだ。こういう時間が必要だったんだな」と思った。
誰に気を使うわけでもなく、
誰かの目を気にしないで、
自分のペースで好きなものを味わうだけ。
それが“ひとりの夜”の、最高の贅沢だと気づく。
仕事をしていると、
「何かしなきゃ」「生産性を上げなきゃ」
そんな気持ちばかりが重なっていく。
でも、カップラーメンとドラクエ。
この組み合わせは、ただ“生きる”だけの時間を返してくれる。
気づいたら、あっという間に2時間。
ゲームの中でレベルが上がり、
こぼれかけた麺をすすり、
ゼロコーラを飲みながらひとりで笑った。
「こういう夜、またやろう。」
深夜カップラーメンは体に良くないかもしれない。
でも、心にはめちゃくちゃ効いた。
ひとりで好きなものを味わい、
ひとりで自分のためだけの時間を使い、
ひとりで没頭する。
これこそが、
“ひとり飯 × ひとり趣味”の最強の組み合わせだと確信した夜だった。


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