お気に入りの店が閉店したとき一人客はどうする?|「いつもの店」がなくなった日の話

Solo Eating Out(ひとり外食)

一人で外食する生活が長くなると、いつの間にか「いつもの店」ができる。

特別な高級店ではない。

予約して行くような店でもない。

仕事帰りにふらっと入れる。

一人でも気を使わない。

いつもの席に座って、いつもの料理を食べる。

店員さんと特別に仲がいいわけではなくても、店内に入っただけで少し落ち着く。

そんな店だ。

ところが、ある日その店の前を通ると様子がおかしい。

電気がついていない。

入口に紙が貼ってある。

そして、

「閉店しました」

という知らせを見る。

一人客にとって、お気に入りの店の閉店は意外に大きい。

単に「食事をする場所が一つ減った」というだけではないからだ。

今回は、お気に入りの店が閉店したとき、一人客はどうすればいいのかを考えてみたい。


一人客にとって「いつもの店」は生活の一部になる

誰かと外食するときは、店を相談して決めることが多い。

「何食べる?」

「焼肉にする?」

「ラーメンでもいい?」

そんな会話がある。

一人なら相談する相手はいない。

その代わり、自分の中にいくつかの選択肢ができる。

疲れている日はあの店。

ラーメンならここ。

静かに食べたいならあそこ。

給料日前ならこの店。

こうしてお気に入りの店は、単なる飲食店から、

「自分の生活を支える選択肢」

になっていく。

だから突然なくなると困る。


「何を食べるか」より「どこへ行くか」が決まっていた

常連になると、夕食について深く考えなくなる。

仕事が終わる。

お腹が空く。

いつもの店へ行く。

注文する。

食べる。

帰る。

これだけだ。

実はこの状態はかなり楽だ。

毎日、

「今日は何を食べよう?」

「どの店がいい?」

「一人でも入りやすい?」

と考えなくて済む。

つまりお気に入りの店は、食事だけではなく、毎日の小さな意思決定まで減らしてくれていたことになる。

閉店して初めて、そのありがたさに気づく。


閉店を知った日の妙な喪失感

店がなくなっただけ。

そう考えれば大したことではない。

他にも飲食店はいくらでもある。

それでも、長く通った店なら妙な寂しさがある。

「あの料理、もう食べられないのか」

「あの席に座ることもないのか」

「あの店員さん、どうしているんだろう」

そんなことを考える。

特に一人で何十回も通った店には、自分の記憶が積み重なっている。


店員と話していなくても思い出は残る

常連というと、

「いつもの!」

と言えば料理が出てくるような関係を想像するかもしれない。

しかし、一人客の常連は必ずしもそうではない。

毎回ほとんど話さない。

注文する。

食べる。

会計する。

「ごちそうさまでした」

と言って帰る。

それだけの関係もある。

それでも50回、100回と通えば、その店は自分にとって特別な場所になる。

店員と親しくなくてもいい。

自分が安心して一人でいられた場所だった。

それだけで十分なのだ。


まず閉店理由を無理に探さなくていい

お気に入りの店が閉店すると、

「なぜ?」

と思う。

売上が悪かったのか。

家賃なのか。

人手不足なのか。

店主の事情なのか。

移転なのか。

気になる。

公式に案内が出ているなら確認してもいい。

移転なら新しい店舗へ行ける可能性もある。

ただし情報がなければ、無理に理由を調べる必要はない。

経営には外から見えない事情がいくらでもある。

客だった自分にできるのは、

「好きな店だったな」

と思うことくらいかもしれない。


同じ味の店を探す?

閉店後、最初に考えるのは代わりの店だ。

例えばお気に入りがラーメン店なら、近くのラーメン店を探す。

定食屋なら定食屋。

焼肉なら焼肉。

しかし、これが意外に難しい。

味が似ていても店内が落ち着かない。

価格が違う。

席が違う。

店員との距離感が違う。

混雑具合が違う。

お気に入りだった理由は「味」だけではないからだ。


完全な代替店を探さないほうがいい

「あの店と同じ店を見つけよう」

と思うと、新しい店への評価が厳しくなる。

前の店は700円だった。

ここは850円。

前の店はカウンターが広かった。

ここは狭い。

前の店のほうがおいしかった。

全部比較してしまう。

しかし別の店なのだから違って当然だ。

そこで私は、

「代わり」ではなく「次のお気に入り候補」

として探したほうがいいと思う。

前の店を再現する必要はない。


まず3店舗くらい試してみる

お気に入りの店がなくなったら、むしろ新規開拓の機会にする。

例えば、

自宅から徒歩10分以内。

一人で入りやすそう。

予算1000円前後。

この程度の条件で3店舗ほど行ってみる。

一回目で、

「ここが次の店だ!」

と決めなくていい。

店は何度か行って印象が変わることもある。

最初は普通だったのに、3回、5回と通ううちに居心地が良くなる。

以前のお気に入りの店も、最初から特別だったわけではないはずだ。


一人客なら「入りやすさ」を優先していい

新しい店を探すとき、口コミ点数だけで決める必要はない。

一人飯なら、

カウンター席がある。

一人客がいる。

注文方法が分かりやすい。

長時間待たなくていい。

自宅や駅から近い。

こうした条件も重要だ。

料理がものすごくおいしくても、毎回緊張する店なら「いつもの店」にはなりにくい。

逆に味は十分おいしい程度でも、

「何も考えずに入れる」

店は強い。


一人飯では価格も重要になる

お気に入りの店は一度だけ行く店ではない。

月に何度も行く可能性がある。

だから価格差が効いてくる。

800円なら週2回行ける。

1500円なら月2回にする。

どちらが良い悪いではない。

ただ、

自分がどの頻度で通いたい店なのか

を考える必要がある。

次の「いつもの店」を探すなら、無理なく払える価格も大切だ。


あえて違うジャンルへ行く

ラーメン店が閉店した。

次もラーメン店。

それでもいい。

しかし、あえて違うジャンルへ行くのも面白い。

定食。

そば。

カレー。

町中華。

牛丼。

ファミレス。

一人焼肉。

以前なら行かなかった店に入ってみる。

お気に入りの店が閉店したことをきっかけに、一人飯の行動範囲そのものを広げるのだ。


「お気に入りを一店舗だけ」にしない

閉店を経験すると、一つ学ぶ。

店は永遠には続かない。

そこで普段から、

第一候補。

第二候補。

第三候補。

くらいを持っておくといい。

今日はA店。

混んでいたらB店。

休みならC店。

こうしておけば一店舗がなくなっても困りにくい。

これは災害対策のような大げさな話ではない。

一人飯の小さなバックアップだ。


行きつけを3店舗持つと気持ちが楽

例えば、

ラーメンならA店。

定食ならB店。

静かに食べたいならC店。

この3つがあれば、その日の気分で選べる。

さらに新規開拓枠としてD店を試す。

良ければ候補入り。

合わなければ別の店。

こうして少しずつ自分だけの「一人飯マップ」ができる。


閉店前に最後の一回へ行けたなら

事前に閉店を知ることもある。

「今月末で閉店します」

と貼り紙が出る。

そんなときは、都合が合えば最後に一度行っておきたい。

いつもの料理を注文する。

いつもの席に座る。

いつものように食べる。

特別なことをしなくてもいい。

長く通った店なら、

「今までありがとうございました」

と会計のときに伝えてもいい。

短い一言でも十分だ。


写真を一枚残すのもいい

料理の写真を撮れる店なら、一枚残しておく。

ブログを書いているなら記録にもなる。

ただし、店内や他のお客さんを無断で撮影しないなど、店への配慮は必要だ。

数年後に写真を見ると、

「あのころ、よくここで食べていたな」

と思い出す。

料理写真一枚が、その時期の生活まで思い出させることがある。


閉店は「一人飯の歴史」の一部になる

一人で外食を続けていると、いろいろな店に出会う。

開店したばかりの店。

何十年も営業している店。

数回しか行かなかった店。

100回近く通った店。

そして閉店する店。

その全部が、自分の一人飯の歴史になる。

「あのころは毎週あそこへ行っていた」

という記憶は、食事だけの記憶ではない。

そのころ住んでいた場所。

仕事。

帰宅時間。

街の景色。

いろいろなものとつながっている。


新しい店も、最初はただの知らない店だった

お気に入りの店を失うと、

「あれほど落ち着く店はもう見つからない」

と思うことがある。

でも考えてみれば、その店も最初は知らない店だった。

初めて入口を開けた日があった。

初めてメニューを見た。

初めて注文した。

そして2回目。

3回目。

10回目。

いつの間にかお気に入りになった。

なら、次の店も同じかもしれない。


一人客だからこそ新しい店へ入りやすい

誰かと一緒なら、

「この店どう?」

と相談する必要がある。

一人なら必要ない。

気になったら入る。

違ったら次回は行かない。

良ければまた行く。

この身軽さは、一人外食の大きなメリットだ。

お気に入りの店が閉店したときこそ、この自由さを使えばいい。


「あの店が一番だった」のままでもいい

新しいお気に入りが見つかったとしても、以前の店を忘れる必要はない。

「あの店のほうが好きだった」

と思ってもいい。

思い出はランキングではない。

閉店した店。

現在通っている店。

これから見つける店。

それぞれ別の存在だ。

昔のお気に入りを無理に上書きする必要はない。


まとめ|いつもの店がなくなったら、次の一軒をゆっくり探す

お気に入りの店が閉店すると、一人客は意外に困る。

食べる場所がなくなるだけではない。

何も考えずに入れた場所。

落ち着けた席。

いつもの料理。

仕事帰りのルーティン。

そういったものがまとめてなくなるからだ。

だから寂しく感じても不思議ではない。

ただ、そこで一人外食をやめる必要はない。

まず近所の店を一軒試す。

次の週にもう一軒。

気に入ったらもう一度行く。

そうやって新しい場所を探せばいい。

そして今度は、お気に入りを一店舗だけにせず、二つ、三つ持っておくのもいい。

一人飯の「いつもの店」は、探して見つけるというより、何度も通ううちにできていくものなのだと思う。

閉店した店を忘れなくてもいい。

「あそこ、よかったな」

と思いながら、次の店のドアを開ける。

その新しい一軒も、数年後には自分にとって大切な「いつもの店」になっているかもしれない。

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