【2023体験談】ラーメン山岡家 高崎中尾店の昼は職人系が多かった話|ソロ飯レビュー

Solo Eating Out(ひとり外食)

2023年のある日、私は群馬・高崎にある「ラーメン山岡家 高崎中尾店」に足を運んだ。普段は夜型な私だが、その日は珍しく午前から動いており、昼のピークタイムに突っ込んでみようと思った。山岡家といえば、24時間営業のイメージが強いが、昼時の雰囲気を味わうのも面白い。実際に行ってみると、その空気感は夜とはまったく違っていたのだ。

店内へ入るとまず感じたのは、客層が圧倒的に「職人系・現場系の男性」だらけだったということ。作業服、鉄筋屋、建築系、配送、トラック組……肩と背中に疲労が乗っているような、汗と仕事の誇りが混ざった空気。外の工事現場から一息つきに来たような人も多く、テーブル席よりもカウンターの回転が早い。食べるスピードも尋常じゃない。レンゲより箸のほうが仕事が早いタイプだろう。

カウンターの中央に座り、私はいつも通り「醤油ラーメン・脂少なめ・麺ふつう・味ふつう」を券売機で選んだ。山岡家はトッピングを楽しむ人も多く、私の両隣では「バター+海苔+辛味」や「ネギマシ+ニンニクドバッ」とカスタムしまくっていた。昼は胃が軽いほうが良いと思っていたが、目の前の職人たちは迷いなく大盛り+チャーハンセット。戦う男には燃料が必要なのだろう。

目を閉じれば、店内の空気は独特だ。床に油が馴染んだような照り、換気扇から漂う豚骨の濃い匂い。最初は「うわ、強烈だな」と思うが、数分で鼻が慣れてくるから不思議だ。むしろこの匂いが無い山岡家は山岡家ではない。濃厚な豚骨スープが体に入る前から脳に届き、仕事帰りの男たちの背中を押しているような感覚です。

ラーメンが着丼する。湯気の向こうに浮かぶ背脂と海苔が、まるで「今日も戦おう」と語りかけてくるようだった。レンゲを沈めると、豚骨の香りが鼻へ立ち上がり、口に流し込む瞬間、あの癖になる塩味が舌を掴む。スープを飲むほどに喉の奥に残る旨みと匂いが癖になる。それは好き嫌いがハッキリ分かれる濃度だが、ハマる人は中毒のように通うのを私は知っている。

見渡せば、皆が静かに食べていた。昼の山岡家は意外と無言なのだ。夜のように学生やカップルの笑い声はない。ただ黙々と食べ、昼の仕事に戻るための燃料を補給する場所。まるで戦場の給水所のようだった。

私も黙々と食べ切り、スープを三口だけ残してレンゲを置いた。腹の底に重さが沈む感覚が気持ち良い。外へ出るとまだ昼の太陽が強く、店の独特な香りが服にわずかに残っていた。この匂いが好きという人もいれば、嫌う人もいる。でも私は思う。この匂いこそ「山岡家を食べた証」だと。

2023年のあの日、私は確信した。
山岡家 高崎中尾店の昼は「職人の休息場所」であり、一人で行っても馴染める空気がある。ラーメンを啜る音だけが響く店内で、私はなんだか、自分も少しだけ強くなれた気がした。

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