ステーキ宮 前橋下小出店には、1人客はわたしだけだった。その時の記録

Solo Eating Out(ひとり外食)

群馬に住んでいた頃の話だ。ある日の夕方、無性に肉が食べたくなった。理由は特にない。強いて言えば、その日は仕事がうまくいかず、気持ちも少し沈んでいた。自分を奮い立たせるために、「たまには贅沢していいだろう」と思い、ステーキ宮 前橋下小出店のドアを押した。

店に入ると、思ったより静かだった。家族連れやカップル、仕事帰りの男性がぽつぽつ座っている。その中で、一人席に案内されたのは私だけだった。 視線が少し気になったが、逆に「よし、堂々と楽しもう」と腹を決めた。

席に座ると、名物ソースの香りがふわっと鼻に届く。あのステーキ宮オリジナルの甘辛い香りは、なぜあんなにも食欲を刺激するのか。メニューを眺めるまでもなく、迷わず宮ロースステーキを注文した。ひとり外食の良さは、誰にも合わせず、食べたいものを注文できることだ。

鉄板の上でジュウッと音を立てながら肉が運ばれてきた瞬間、心の中でガッツポーズをした。ソースをかけると湯気が立ち上がり、肉の香りとタマネギの甘い匂いが混ざり合う。ナイフを入れるとほどよい弾力。口に運べば、少し噛むだけで肉汁がじわっと広がり、疲れていた気持ちもスッと軽くなった。

周りを見ると、相変わらずひとり客は私だけ。だけど、その孤独感が心地よかった。誰かと話さなくてもいい。ゆっくり味わって、自分だけのペースで過ごせる。スマホでニュースを読みながらステーキを切り分けるこの時間が、なんだか大人になった証みたいで嬉しくなった。

宮の良さは、ソースだけじゃない。ライスとスープバーでゆっくりできること、静かに過ごせる夕方の雰囲気、気取らずに一歩入れるカジュアルさ。ひとり外食初心者でも入りやすい店だと感じた。

食べ終わる頃には、満腹と同時に心も少し前向きになっていた。「また頑張ろう」と、自然に思えた。たった1食のステーキが、気持ちを立て直してくれる日もある。ひとりで食べたあの夜のステーキ宮は、今思い返しても不思議と胸に残っている。

また疲れた日には行こう。今度はもっと堂々と、一番食べたいメニューを頼んでやる。ひとり外食は、寂しい時間ではなく、自分を取り戻す時間なんだと知った夜だった。

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