前橋下小出店で一人ステーキ。心が救われた話

Solo Eating Out(ひとり外食)

ステーキ宮 前橋下小出店に一人で行こうと思った日、正直なところ私は少しやけくそだった。仕事帰りの夜、気持ちが沈んでいて、なんとなく夕飯を作る気力が湧かなかった。「今日はガッツリ肉を食べて気分を変えたい」――その衝動だけで車を走らせ、国道沿いの宮の黄色い看板に吸い寄せられるように入った。

店内に入ると、土曜の夜ということもあり家族連れやカップルが多かった。ひとりで来ている私は少数派。少し心細さはあったが、カウンター席に案内されると意外と落ち着けた。ステーキ宮の良いところは、ひとり客でも変に目立たず、店側も慣れている雰囲気があることだ。お冷を飲みながらメニューを見ると、やっぱり目につくのは「宮のたれ」のステーキ。これが食べたくて来たのだから迷わず注文する。

ジュージューと音を立てて鉄板が運ばれてきた瞬間、沈んだ気分が一気に浮上する。熱で跳ねる油の香り、レアな焼き色、セットのスープバーからよそってきたコーンスープ。ひとりでも十分すぎるほどのご褒美感がある。ナイフを入れると柔らかく、肉汁がじわっと広がる。宮のたれを絡ませて一口食べたら、「ああ来てよかった」と心の底から思えた。

店内のざわめき、家族の笑い声、子どものはしゃぎ声。いつもなら気になりそうなこういう音が、この日は妙に温かく感じた。ひとりで食べても孤独ではない。どこか世界とつながっている気がした。やけくそで飛び込んだだけなのに、ステーキ宮は私に小さな救いをくれたのだと思う。

帰り際、ドアを開けると夜風が冷たかった。でも心の中にはじんわりした温度が残っていた。ひとり飯は時々寂しいけれど、そんな夜にステーキを食べて元気を取り戻すのも悪くない。むしろ、こういう日こそ一人で行く価値がある。沈んだ気持ちにも肉は効く。

また落ち込むことがあったとしても、あの黄色い看板を思い出せば良い。「よし、宮に行こう」と。ひとり外食は逃げではなく、自分を回復させるための行動。あの夜のステーキは、確かに私を助けてくれた。

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