ひとりマックのドライブスルー。夜の車内がいちばん落ち着く

Solo Eating Out(ひとり外食)

仕事帰りの夜。
ふと「今日はもう料理する気力がないな」と思う日がある。
そんなとき、気がつけば車をマクドナルドの看板の方へ走らせている。
店内に入るのはちょっと億劫。でも、ドライブスルーなら気楽だ。
誰とも目を合わせずに注文して、受け取って、すぐ自分だけの空間に戻れる。

ドライブスルーに入ると、
並んでいる車の赤いブレーキランプがぽつぽつと連なっていて、
それだけで “夜の安心感” みたいなものがある。
「今日はひとりでゆっくりしたいんだ」
そんな気分を分かってくれているような光景だ。

「ご注文をどうぞ」
スピーカーから流れる店員さんの声に、
いつもより少しだけ優しさを感じる。
頼むのはシンプルで、
ハンバーガーとポテト、飲み物はゼロコーラ。
変わらない組み合わせが、いちばん落ち着く。

商品を受け取ると、
紙袋のあたたかさがすぐに手に伝わってきて、
「ああ、今日はこれで救われるな」と思う。
助手席に袋を置くと、塩と揚げ油の匂いがふわっと広がる。
この瞬間の幸福感は、たぶん誰が相手でもなく、
ひとりでいるときだからこそ感じられるものだ。

少し走ったところで、
人気のない道路脇に車を停める。
車内灯はつけない。
街灯のぼんやりした光だけで十分だ。
紙袋をガサっと開ける音が車内に響いて、
外の静けさと混ざり合う。

ハンバーガーをひと口かじると、
思った以上に温かい。
パンの柔らかさとパティの肉の香りが、
胃だけじゃなくて心にも届く感じがする。
「今日もなんとか頑張ったな」
そんな言葉が自然と浮かぶ。

車の中って狭いのに、不思議なくらい落ち着く。
誰かに気を使う必要がなく、
自分のリズムで食べていい。
数分おきに通り過ぎる車のライトが窓を横切るたびに、
この小さな空間がもっと安心できる場所に思えてくる。

ポテトをつまみながら、
「こういう時間も悪くないよな」と思う。
豪華な外食じゃなくても、
手作りの温かい料理じゃなくても、
“疲れた自分を回復させるひとり時間” が目的なら、
マックのドライブスルーは十分すぎる選択肢だ。

食べ終わって袋をまとめると、
心の中のモヤモヤも少し軽くなっている。
エンジンをかける前の静かな数秒が、
いちばん好きかもしれない。
明日もまた何とかやっていける気がする。

ひとりで食べる時間って、
寂しさじゃなくて “自分を取り戻す時間” でもある。
マックのドライブスルーは、
そのための小さな避難所みたいな場所だ。

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