なんとなく入った「ココス前橋国領店」。思ったより落ち着く夜だった

Solo Eating Out(ひとり外食)

2024年の秋、用事で前橋に立ち寄った帰り道のこと。なんとなく道路沿いの黄色い看板が視界に入り、「ココス 前橋国領店に寄ってみるか」と、ふと気が向いた。お腹がそこまで空いていたわけでもない。ただ、車を走らせながら、どこかでひと息つきたい気持ちがあった。ファミレスは、ひとりでも入りやすい。気軽で、構えなくていい場所。そう思ったら、そのままハンドルが勝手にウインカーを出していた。

店の前には数台の車。混みすぎず、空きすぎず、ちょうどいい雰囲気。ガラス越しに見える店内の柔らかい照明と、黄色いロゴの安心感。扉を押した瞬間、ふわっと温かい空気と美味しそうな香りに包まれる。この感じがいい。家ではなく、繁華街でもなく、だけど孤独も嫌われない場所。ファミレスにはそんな懐の深さがある。

席に案内され、メニューを開く。写真を眺めているだけで楽しい。ハンバーグもいい、パスタもいい、デザートのページは誘惑が多い。悩んだ末、今回は「包み焼きハンバーグ」を注文。ココスといえば、これだと思っていたから。

ジュワッと音を立てながら運ばれてきた包み焼き。ナイフを入れると湯気と香りが一気に立ちのぼる。中からあふれる肉汁、少し甘めのソース。ひと口食べた瞬間に、今日ここに来た理由がストンと腑に落ちた。正解だったな、と思う。誰かと来ても良かったけど、ひとりで味わうのも悪くない。静かに噛みしめる時間は、思考がゆっくりと整理されていく。

店内には家族連れ、学生らしきグループ、仕事帰りのサラリーマン。それぞれの時間が流れ、会話が重なり、でも私はそのどれにも混ざらずに自分の席にいる。それが居心地よかった。ひとりのごはん=寂しい、ではない。むしろ、自由だ。自分のタイミングで食べて、考えて、立ち上がることができる。

食後にコーヒーを追加。窓の外を見ると、夕暮れの前橋の街が少しずつ暗くなり、車のテールランプが線のように流れる。何気なく入っただけなのに、少しだけ人生のページが増えた気がした。SNSに載せるような派手な瞬間ではない。でも、こういう何でもない日常が案外あとで思い出になる。

会計を済ませて外に出ると、夜の空気は少し冷たかった。だけど心の温度は上がっていた。理由なんてなくていい。「気になったから入った」。それで十分。たまには、計画のないごはんもいい。次にここへ来るときは、デザートのチョコバナナパフェにしようかな、なんて思いながら車に乗り込んだ。

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