そういえば2010年代、高崎のキングジョーはお昼時になると、当たり前のように行列ができていた。
12時を少し回っただけで、店の外にはずらっと人が並び、初見の人なら「ここまでして食べる?」と一瞬ひるむレベル。それでも列は途切れず、むしろ後ろにどんどん人がついてくる。あれが、当時のキングジョーの日常だった。
並んでいるのは、スーツ姿のサラリーマン、作業着の人、学生、そして一人客。
不思議と「連れで来ている人」が少なく、ソロ比率が高かったのを今でも覚えている。昼休みは限られている。だからこそ、目的地を決めて、黙って並ぶ。キングジョーは、そういう店だった。
行列ができても回転は早い。
中に入ると、無駄のないオペレーションで料理が出てくる。量はしっかり、味は安定、値段は良心的。派手さはないが、「外さない昼飯」という信頼感があった。だから皆、並ぶことを最初から織り込み済みで来ていた。
ソロ飯的に見ると、キングジョーはかなり完成度が高い店だったと思う。
ひとりで入っても浮かない。むしろ、ひとりのほうが自然。黙って食べて、食べ終わったら席を立つ。会話もいらないし、長居もしない。昼飯に求められる要素が、すべて揃っていた。
今振り返ると、あの店は単なる人気店ではなかった。
高崎という街の「昼飯インフラ」だったんだと思う。時間がない人、確実に満足したい人、とにかく腹を満たしたい人。その全員を受け止める場所だった。
行列は面倒だけど、行列ができる店には理由がある。
2010年代のキングジョーの昼行列は、「ここに並べば間違いない」という無言のサインだった。ひとりで並んで、ひとりで食べて、ひとりで満足する。
ああいうソロ飯の記憶は、今でも妙にリアルに残っている。
並んで食べたひとり昼飯は、だいたい正解。
キングジョーは、その代表例だった。


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