「俺はいつから、餃子の王将 前橋問屋町店に通うようになったんだろう?」
ふと、そんなことを考えた。通い始めてからの月日はけっこう経つのに、その“最初の一歩”が思い出せそうで思い出せない。でも、記憶をたどっていくと、一つのきっかけがはっきり浮かんでくる。
あれは、仕事帰りの夜だった。群馬では珍しく風が強くて、少し肌寒い日だった気がする。車で17号を走っていると、前橋問屋町のあたりでふと視界に入った赤と黄色の看板。
「餃子の王将 前橋問屋町店」。
その瞬間、車内に漂うような感覚で“餃子の匂いの幻覚”を感じた。なんとなく、焼きたての香ばしい匂いが脳に蘇る。「うまそう…」その感情だけで、気づけば右ウインカーを出していた。
実はそれまで王将にはそれほど行ったことがなかった。家の近所には店がなかったし、外食と言えば定食チェーンかラーメン屋くらい。だから王将のイメージは“安い・早い・うまい”という漠然とした印象しかなかった。
でも、この日に限っては違った。
「餃子が、どうしても食べたい。」
なぜか身体がそう反応していた。
店に入ると、あの独特の活気と音に圧倒された。
中華鍋の金属音、餃子を焼くジュワッという音、厨房の掛け声。
カウンター席に案内され、メニューを開く前からワクワクしていたことを覚えている。
最初に頼んだのは、もちろん「焼餃子」。
そして、炒飯。
王将の王道セットだ。
運ばれてきた餃子は想像以上で、ひとくち目の“パリッ”という食感にやられた。肉汁の旨みとニンニクの香りがすべてを支配していて、「これだよ、これ…!」と心の中で叫んでいた。炒飯も想像以上で、シンプルなのに妙にうまい。家では出せない味。
この時、心のどこかでスイッチが入ったのだと思う。
それからというもの、仕事帰りにふらっと寄ったり、休日に無性に食べたくなって車で出かけたり、気づけば“常連”に近いペースで通っていたのだ。
特に前橋問屋町店は、店の雰囲気がちょうどいい。
混んでいる日は多いけれど、その混雑も活気の一部になっている。
家族連れも多くて、学生も多くて、ひとり客も意外と多くて、誰が来ても浮かない。
ソロ活でも入りやすい空気がある。
あの日、「美味そう」というたった一つの感覚が背中を押してくれなかったら、こんなに通う店にはならなかったかもしれない。
でも、食べ物との出会いってだいたいそんなものだ。
何気ないきっかけが、いつの間にか日常の一部になる。
そして気づけば、「ああ、今日も王将に行こうかな」と自然に思っている。
前橋問屋町の王将は、そんな“日常の寄り道”として、これからもきっと通い続ける店だ。


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